岐阜県恵那市笠置町での導入事例

むすびグループでは、現在岐阜県恵那市笠置町において、高齢者見守り事業の実証実験に参加し、計画策定およびシステム設計を行っています。

背景

岐阜県恵那市は、岐阜県東部に位置し、清流である木曽川が流れる自然豊かな地域です。しかし、戦後の行き過ぎた都市への人口集中、特に産業構 造の転換により労働力人口が流出したことにより、JR中央線の駅がある線路沿いは宅地開発もされていますが、市の周辺部では過疎高齢化が進んでいます。

恵那市の位置
恵那市の位置(市HPより)
 <笠置町周辺>
 
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笠置町でも、過疎高齢化が進んでいます。地区の高齢者人口は491人、高齢化率は34.4%となっています(2011年3月の住民基本台帳より)。そうした中、このことに危機感を持った笠置町まちづくり委員会のリーダーの方々が「自分たち自身で地域の高齢化対策をしなければならない」と考え始めました。

人口グラフ その1
恵那市の人口推移(国勢調査より)
人口グラフ その2
恵那市の地域別高齢者数と高齢化率(住民基本台帳調査より)

恵那市笠置町での取り組み

笠置町まちづくり委員会では、他地域の取り組みを参考に、同様のシステムを導入して人感センサーを用いた実証実験を行うことを決めました。岐阜県の補助金を得て、笠置町で15件のモニターを募集、2013年の10月から見守り事業を開始しました。その見守りの仕組みは次の通りです。

 

人感センサーでの見守り
高齢者の地域見守り事業では、人が動いたらセンサーが反応する人感センサー(自動ドアなどに使われているのと同じ仕組みのセンサーです)を使用します。高齢者のお宅に、例えば、居間、寝室、トイレに向かう通路、玄関などに設置します(恵那市笠置町の事業では、玄関+2カ所のセンサーで事業を行 います)。センサーを情報ネットワークに接続し、地域見守り事業の拠点にデータを送信します。1時間に1回、各センサーから人の動きがあったかどうかの情報を拠点に集めて集計します。そうすると、例えば、「寝室で1時間に数回だけ人が動いた状態が長い時間続いている」、「1日に1度もトイレに行っていない」などの状態が確認された場合、そのお年寄りに何かトラブルがあった可能性があります。その場合には、見守りの担当者がその家に駆けつけて、安否を確認します。

センサー配置図
センサー配置の例
モニター図
モニター画面の例

見守る地域グループの形成

 

地域には見守り拠点を設置します。ここにデータを管理するパソコンを設置し、毎日、決まった時間に1時間ごとに送られてきているセンサーの情報をチェックします。このチェックは人の目で行わなければなりません。また、何かあったときに駆けつけるにも人です。重要なのはセンサーそのものではなく、センサーから送られてくる情報をチェックし、必要なら駆けつける人です。しかも1人では出来ませんので、どうしても地域で見守りの仕組みを支えていくグループが必要になります。

笠置地区の場合、危機感を持った地域リーダーの方々を中心に見守り事業を担うグループとして「みまもり笠置『ほっと君』」を10月中に設立します。

見守りネットワーク図
見守りのネットワーク図

見守りを担うグループの採算性
人感センサーだけでは、高齢者の見守りはできません。どうしても人の目で安否を確認する必要があります。何かあったときに駆けつけるのも人で すし、センサー以外にもお年寄りの元を訪問し、様子を目で見て判断し、あるいは健康状態をチェックし、必要な場合には病院に連れて行くなどの対応を行うこ とが必要です。そんなことまで自動的に行ってくれるセンサーや機械は存在しません。

見守り事業には、どうしても見守る人が必要です。しかし、そのような見守りをボランティアで行うことはまず無理です。最低でも見守りのための 必要経費が存在します。センサーの通信費やセンサーから送られてくる情報を管理するサーバーの維持費、駆けつけるときのガソリン代などが必要です。

他方で、年金だけで暮らしている高齢者では、見守りの費用が払えない場合もあります。費用負担によって生活できなくなってしまっては本末転倒になってしまいます。このため、必要経費と費用負担とのバランスをとらなくてはなりません。

このため、見守り事業の初期費用については補助金を申請しました。通信費については、恵那市全域の光回線はそもそもが大容量のデータ通信(具体的にはインターネットやテレビでの利用)を前提としているため利用料が数千円かかりますが、見守りセンサーの情報だけをやりとりする専用の安価な回線契約を用意しました。そして、地域グループの見守り経費として、センサー利用者が見守り協力金を支払う仕組みを作りましたが、この協力金については、恵那市外で生活する家族の方々にも案内・説明し、お年寄り本人ではなく、離れて暮らす親を心配する家族の方々が費用を負担する仕組みを採用しました。このようにして、利用者の負担を軽くしつつ、見守り組織が継続的に活動を実施するための費用を確保する仕組みを考え導入しています。

見守りはお年寄りと地域を元気にするシステム

 

ここまで述べてきた人感センサーを活用した見守りシステムは、センサーだけでも成り立ちませんし、見守る人だけでも成り立ちません。人感センサーを含む情報通信技術と、見守りを担う地域の方々の組織の両方があって、初めて成り立つものです。

同時に、見守りによってひとり暮らしの高齢者と地域の結びつきを作り出します。地域との関わりによって、高齢者に近所付きあいなど外出を促し、健康維持にもつながる適度な運動の機会を生み出します。

他方で、地域で見守り組織に集まる人々は、「地域の人々を支えたい」、「地域をよりよくしていきたい」という想いを持っています。そういった地域住民が集まる場ができること自体、地域が元気であることの証明であり、その組織は、地域をより元気にしていく土台となります。

笠置町の取り組みはまだ始まったばかりです。これから、お年寄りと地域が元気になれる地域を目指して、人感センサーを使った無理のない見守り活動を行っていくことになります。

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